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自宅、地図と領土 [マイハーベスト]

世の中には自分を甘やかしてくれる人がたまにはいるもんである。

スイーツはその意味のまま人間を甘やかすものだと思うので、自分を削ぎ落していきたい時は決して口にしない。

ホイケという重荷を下ろして、ちょっとは自分を甘やかそうという気分になった時。

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どう切ればいいか迷うほどの広域面積サーフェス(きたない切り方ですみません)。

あこがれのトップスの座布団サイズケーキを携えて、ホイケをこっそり観戦(?)に来てくれたI 田さん、ありがとう!
チョコレートクリームの海に溺れて、人格とろけ出しそうです。



やり始めると止まらなくなって時間を費やしてしまうのでしばらく我慢していた数独。

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昨夜はほぼ徹夜でやり続ける。
縦横熟視してひらめいた数字をひたすら升目に埋めていく単純作業がいとおしい。



興が乗るとこれまた止めて眠りに落ちる勇気を出せず、ひたすら時間を消費してしまう活字の扉も開けてしまう。

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「地図と領土」(ミシェル・ウェルベック著/野崎歓訳/筑摩書房)

主人公であるジェド・マルタンは、ミュランの地図を(!)撮った写真で世に芸術家として登場し、その後写真をもとに各界の巨匠を描いた肖像画で億万長者となる。
しかし彼は本著においては現代アート評論のナビゲーターでしかない。

彼に関わるさまざまな人物が、彼への関与の中で実名で独自の芸術論を展開する。
一番仰天なのは、著者であるウェルベック自身が実名でジェドに一番近い人物として登場し、彼に深く芸術論を植え付け、最後には残忍な殺人事件の被害者となって舞台から消えていくことだ。

偏見かも知れないが、アート論がからむ時にはいつも、フランス人の意地というか誇りというか、多くの芸術家や思想家を排出して世界の文化を牽引してきたのは我々なのだという独特のテンションを感じる。
本著もご多分に漏れず、そんな匂いがぷんぷんする。

本著は、登場させた自らを頭部を切断された細切れの肉片に切り刻んだミステリーが本筋ではなく、著者のアート持論総覧と言ってもよい。
なかなか興味惹かれる。

コルビュジェを否定しつつ(これ、フランス人としては異色なんだろうか?)建築家として成功したジェドの父が、まるで気軽な小旅行にでも出掛けるように、50万ほどを支払ってあっさりとスイスへ行って安楽死を遂げてしまうところが、個人的には最もリマーカブルだったところ。

現実と虚構の間を彷徨いながら、異色のアートカタログを体験したいなら是非。


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