SSブログ

自宅、カスバの男 [マイハーベスト]

P1000150.JPG
アタシは絶対散歩になんか行きませんから!
(キッパリ)

ハイハイ・・・わかってますよ。
暑いってことでしょ。

だけど冬だってアナタ、行かないでしょ。


暑いけど、お鮨なら銀座へ食べに行く。
IMG_3605.jpg

ミシュラン一つ星、鮨青木。
http://www.sushiaoki.jp/

銀座の鮨屋という敷居の高さの割に、ちょっと垢抜けないやさぐれた感じが独特だ。

よくぞ日本に生まれけり、とお鮨食べるたびに思う。


そのお鮨大好き日本人の一人一人が、今年のノーベル平和賞にノミネートされていることをご存知か。
そう、これ読んでるあなたもです。
http://en.rocketnews24.com/2014/04/14/japanese

事の発端は座間市の一主婦が、戦争を放棄した憲法9条をノーベル平和賞にノミネートしようと思付いたことだ。
この主婦、いったい何者なんだ。発想がすばらしい。

彼女は7回もノーベル賞選考事務局にメールを出すも、平和賞のNominee(受賞候補者)は人かグループでなくてはいけない、と言われて却下されてしまう。
憲法のような人格が無いものはダメなんですね。

しかし、彼女のアクションに賛同した日本の有識者が集まり、ノミネート実行委員会のようなものを立ち上げる。
そして、平和賞を受けるべきは、憲法9条を守り、70年間どの戦争にもまったく加担せず平和な日本を維持してきた日本国民一人一人であるはずだ、という趣旨のもとにノミネートし直したところ、見事選考通過。

かくして10月10日の発表でもし本当に9条が受賞したら、賞金は1億円だそうだから一人ひとりには行きわたらないけど、日本国民一人一人が履歴書に「2014年ノーベル平和賞受賞」って来歴を書き込める権利を持つようになるんですよ。

笑っちゃうけど、ちょっとシニカルで楽しい。

授賞式には安倍さんが代表で行くのかな。
どんなスピーチをするのかな。
9条は守っていくけど、解釈だけ変えますとか言うのかな。

他に平和賞にノミネートされているのは、ローマ教皇フランシスやパキスタンで女性や個人の権利を訴え続ける16歳のマララさん、ISSとからしいから、ほとんど受賞の見込みはないにせよ、(やはりノミネートされている)プーチンよりは可能性高いんじゃないか、とJohnnyは言ってる。

10月10日、シャンパン用意して待ちましょう。

IMG_9591.JPG



ああ、この世界、惹きこまれる。

41REBDQ066L._SL500_AA300_.jpg
「カスバの男~モロッコ旅日記~」(大竹伸朗/集英社文庫)

ガイドブックではなく、どこへ行って何を食べました的な個人記録でも断じてない。
バラ色のマラケシュとか、憧れのリヤドとか、このアフリカの最北端の国に人を惹きこむようなよくある美辞麗句も無い。
名所旧跡の案内も無い。

読む者には、彼がいったい今どこを歩いているのかわからなかったりさえする。

魅了されるのは、彼の独特の視点と価値観と、モロッコの混沌とのケミストリー。

著者は画家。

彼の眼は、スークに並ぶ美しく妖しげに織り出された絨毯などではなく、その路地裏にあるゴミ捨て場や、何の秩序も無くどんどん重ね貼りされた壁のポスターへ流れていく。

ぶちまけられた生卵、安っぽいプラスチックの籠の四隅に菓子棒を突き立てて売っている「わかってないのだが、わかってるガキども」。

この国で「再利用」という言葉はない。
ガソリン缶を打ち伸ばして作ったドア、肥料袋のプラスチックを裁断して作った買い物かご。

この国で何かが壊れた時、それが別のものに使われる明確な答えを持っていなければ、それは永遠に放置される運命にある。
そして砂に埋もれ、風景の屍の一部となる。
人間の思惑が入る余裕なんて無いのだ。
IMG_0268.JPG

いちかばちか。
是か非か。

リサイクル、やらないよりはやったほうがいいなんていう甘ったるい考えは、先進国の満たされた生活の中から出てくる、土台、歪みをを持った必然性の薄い発想なんだって思い知る。

著者の美意識とモロッコの風俗がぴったりマッチングした洒脱な感覚が素晴らしい。

心底、羨ましい旅である。
IMG_0230.JPG



nice!(2)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 2

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。