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自宅、よい旅を [マイハーベスト]

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ノーベル賞ウィークのフィナーレ、平和賞は、タリバンの銃撃を受けつつも敢然と女子が教育を受ける権利を全世界へ向けて発信したパキスタンの16歳、マララ・ユサフザイが受賞。

憲法9条を維持して来た日本国民が最有力候補、とする下馬評もあったみたいだが、当然の受賞だろう。

http://patchouli.blog.so-net.ne.jp/2014-07-25
Johnnyがシャンパン用意して待っとけみたいなことを言っていたが、まあ、ここはペリエで乾杯といこう。
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何だか受賞の根拠がちょっとアヤシいと言われる平和賞は、今年はこれで名誉挽回した感がある。
今もって、平和に暮らすことや平等に教育を受ける権利が当たり前じゃない国はいっぱいあって、その歪みを是正するアピールのために平和賞はあるのだと思いたい。

小春日和の孫の運動会。
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これが平和でなくて何なのだろうと思う。


オランダ領東インド(現・インドネシア)で進駐して来た日本軍の捕虜となったウィレム・ユーケスの手記を読む。

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「よい旅を」(原題:Door Het Ogg Van de Naald/ウィレム・ユーケス著/長山さき訳/新潮社)

今でこそ憲法9条で平和賞にノミネートされたりする日本人だが、かつての蛮行のせいで、今もって解決されない問題を沢山抱えているのも事実である。
その下敷きになったオランダ人の手記が、日本語に翻訳されてこの国で出版されることの意味。

この本において救われるのは、自分を死の一歩手前まで追いつめた日本兵の所行を、当時の占領国の官僚主義組織としての軍に従わざるを得なかったがゆえの仕業として、個人レベルでの悪行とは分けて考察されていることである。

著者は戦前の独身時代を、オランダの貿易商事会社の日本支社社員として神戸で暮らした。
その思い出は古く、美しく、まるでセピアに褪せた大事な写真のように冒頭で語られる。

その思い出が、その後オランダの植民地であったインドネシアにて日本軍によってもたらされた凄まじい捕虜生活の中で、最後まで日本人を憎みきれない一筋の糸となったことは間違いが無かろう。

民間のオランダ被抑留者に対する日本政府の賠償金はわずか一人当たり数百ギルダー(現在オランダ領国での1ギルダーは60円くらい)だったというが、筆者の心の中では謝罪の一応の価値も認められているようだ。
ヴァチカンが、何世紀にも渡ってユダヤ人を攻撃してきたことへの謝罪までに2000年を要したことと考え合わせて、過去に犯した罪への謝罪がどんなに難しいことであるかも思いやった文章が連綿と綴られ、日本人としては頭を垂れて聞くしかない。

この本を読むと、日本軍とオランダ人捕虜との第一義的な関係以外に、まず300年以上オランダに植民地として支配され続け、そこへ進駐してきた日本軍にダブルで占領されたインドネシアの複雑な国家の歴史を思わずにいられない。

アジアで植民地とされた歴史を持たないのは日本とタイだけ。
その他の多くのアジア諸国が、フランス、イギリス、オランダといったヨーロッパの列強国に支配された過去を持ち、そのコロニアルな雰囲気が今年多く訪れた国々の現在の魅力ともなっているような気がするが、かつての支配国との今の関係はいかがなものだろう。

日本では間違った戦争によって苦しんだ人々への政府の謝罪は今もって続いていると思いたいし、またそれを巡って近年隣国と係争も続いている。

植民地化するということと、占領するということの違いは何なのだろう。
(一応調べると、支配国民が移住して主権を完全に握ることを植民地化、支配国民が入植せず、一時的な保護国扱いとすることを占領、と分けてはいるが、時代背景にもより、明確な区別はできないようだ)

インドネシアの人々は、日本の侵略下にあった時期を、その前のオランダの300年の支配より過酷だったと振り返る。

被支配国の感情が、こんなにも大きく違うのはどうしてなんだろう。

私たちが平和な日本でこの本を読む意味を考えたい。

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