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自宅、踊る昭和歌謡〜リズムからみる大衆音楽〜 [マイハーベスト]

人間誰しも、突然自分が何も知らない、何も出来ない、大海に放り出された小魚になったような気分になることってないか。

ほぼ60年も生きてきたのに、何一つ満足にできることが無いっていうのは、なんかやり方を間違えているんじゃなかろうかと迷う。

耳慣れた8ビートから一歩進んで16ビートにドラムのレッスンが進んだ途端、いきなりその惑いの大海に躍り出てしまった。

テクニカルなことは練習を積むとして、だいたい8ビートと16ビートの違いってなんなんだろうと。
(ドラムでは確実に違うリズムだが、逆のベクトルで考えた時にその曲がどちらなのかが分からない)
8分音符が主体の曲、16分音符が主体の曲っていうありきたりの説明では納得できません、先生!

8分音符が主体ってどういうこと。
8分音符の羅列の中に1コすごく目立つ16分音符のフレーズがあったらそれは16ビートだっていうなら、主体っていうのはどういうことを指すの。

こんな面倒な生徒を持った先生こそいい迷惑である。

ここでクラシック以外の音楽に一切触れてこなかった経験の浅さが一気に出てしまった。

8ビートって日本独特の言い回しらしいが、じゃあ外国では何にあたるの。
8ビート、16ビートと拍子記号や速度記号との棲み分けはどうなるの。

クラシックの曲想を決めるのは、旋律以外には拍子と速度しかない。
ビート、という感覚はそこに無い。

私が戸惑うのは、その打楽器専用事項に初めまして、だからだ。

混乱の極地である。

いってみましょう。

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「踊る昭和歌謡〜リズムからみる大衆音楽〜」(輪島裕介/NHK出版新書)

分からない時にはとにかく手当たり次第、読み、聞くしか無い。

西洋、特にアメリカや南米から入ってきた音楽を日本がどう咀嚼し、固有の大衆楽曲に練り上げていったかを、主にリズムの角度から鮮やかに綴る異色の昭和史。

これで日本固有の言い回しである8あるいは16ビートの意味が解明されるんじゃなかろうか、と期待したんだけど。

う〜ん。

かすりはするけど、なかなか直接痒いところに手が届かない感じだ。

経験が浅いと、本のねらいまでピントがずれるんだな。

昭和初期のジャズに始まり、マンボ、ドドンパ(またわからない言葉が増えた→しかしこれが筆者にとってはかなり画期的な日本固有のリズムであるらしい)、ツイストはてはユーロビートまで。
座っておとなしく聴くクラシック音楽に対して、ダンスホールに躍り出たリズムによって生かされる身体の動きを伴う曲を「大衆音楽」と位置づけて、日本の歌謡曲の軌跡を追う意欲作ではあろう。

耳にはするが、自分が特に触れてこなかった世界が、自分の人生と平行して昭和という時代にこんな風に横たわっていた事実そのものが、大きな驚きでもある。

しかし・・・

ここで日本でのお勉強は一旦タイムアウト。

「ブルースはジャズやポピュラーが生まれる前にある音楽ですから、しっかり聴いてらっしゃい」

先生からまた課題を一つ突きつけられた恰好で、ロバート・ジョンソン『Sweet Home Chicago』をもらい、明日シカゴへ発つ。

今度はこの本を片手に。

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「アメリカ音楽史〜ミンストレル・ショウ、ブルースからヒップホップまで〜」(大和田俊之/講談社選書メチエ)

3月から走りに走った時間を一旦おいて、旅行者の群れの中にのまれる。
私もたった一人の無の存在になりながら。

たっぷりとした一人の時間が私を押し潰していく。
そうなりたくて、いつも旅を決める。

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